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さよならジュピター

日本SF映画史上もっとも最低の作品と言われている「さよならジュピター」。もはやそれに異論を唱える者はいるまい。念のためネットをぐぐってみたが、どこもかしこもボロカスに書かれてました。Wikiには「壊滅的につまらない」とまで書かれています。まあ、あたりまえでしょう。おバカにもほどがあります。どうがんばればこれだけひどい映画ができるのでしょうか。当時日本中のSFファンは泣いてこう思いました「日本SF映画に明日はない」と。
ああ、私の尊敬する小松左京氏よ。なぜこんな大失敗をなされたのでしょう!?

確かにもっとつまらないSF映画はありますが、この映画は高い志で作られたにもかかわらず、出来上がってみると目も当てられない出来になってしまったのが、いっそう評価を下げている理由です。この映画、公開前までとにかく期待されていました。当然私もかなり期待していました。なにしろ総監督、小松左京の陣頭指揮のもと野田昌宏、 豊田有恒、田中光二、山田正紀、鏡明、伊藤典夫、井口健二、横田順彌、高千穂遥という超豪華SF作家メンバーによるブレーンストーミングを行い、ハードSF作家の石原藤夫に科学考証を協力するなど製作準備段階から念の入れよう。和製『2001年宇宙の旅』を目指すという今考えればあり得ないほどの無謀さなのですが、このメンバーをみると出来そうな気がしたものでした。しかし餅は餅屋。所詮作家に映画は撮れないのです。なにしろ脚本まで小松左京が書いてしまた。これがこの作品の失敗の最大の要因の一つ。撮影の事がわかっていなくて且つ思い入れがあるため、詰め込みすぎのストーリーとなってしまった。ヒッピーまがいのカルト集団との抗争(一応これがメインなのだが、一番必要ない)世界レベルのプロジェクトがなぜこんな弱小集団に手こずるのか全然理解できません。そもそも木星太陽化計画に反対する必要性も伝わってきません。そしてイルカの死でまぬけな歌を歌う教祖、もう怒りが込み上げてくる程の超度級的最低な演出。それを強く希望した小松左京氏。それから何よりも一番酷評された「無重力SEX」これほど無意味なシーンはないほどのおバカぶりです。ほんとにただの飯事です。スタッフのみなさん誰も異論をとなえなかったのでしょうか?それほど当時の小松左京の力は巨大だったのでしょうか?確かに1970年の大阪万博でのサブ・プロデューサーという功績は素晴らしいものですが、博覧会と映画はまったく違うのです。このひどいSEXシーンを小松左京は自身たっぷりに語っていたからもう目もあてられません。まだ無意味なストーリーは続きます。何の為に登場したのかわからないジュピターゴースト。火星の宇宙人のメッセージなどなど。ストーリーとまったく関係のないおそまつなシーンを全部カットしたら少しは良くなったかもしれません。確かにノベライズではちゃんと説明があり意味があるのですが、映画では何の説明も無いので意味不明なのです。ダースベーダー氏も語ってましたが、この映画はストーリーが大変わかりずらい。それは上記のようにどうでもよいシーンがてんこ盛りのためなのだが、簡単に説明すれば「地球めがけて襲ってくるブラックホールの軌道を変えるため木星を爆破する」という簡単な話なのです。それだったら「妖星ゴラス」が何十倍も面白いし、同じ木星太陽化テーマの「2010」の方がまだましだ。
さてキャスティングもひどいものである。なんと主演は三浦友和。マジですか!?と思いましたよ。これほどSFに似合わない人もいない。そして、とってつけたような天才少年役、マーク・パンサー。もう見ている方がはずかしい。それにもともとアニメ用の企画を転用したのでしかたのないことなのかもしれません。アニメと実写ではその全ての作業が根本的に違うということをまったく理解していなかったのでしょう。
さて、制作費もおどろきです。公式発表は10億円。宣伝費等を除く実質製作費はたった6億円。なんと『宇宙からのメッセージ』よりもはるかに少ないのである。いくら制作費云々ではないといってもこれではまともな特撮など出来る訳が無い。本当に2001年宇宙の旅を目指したのであろうか!?さらに制作期間もたった6ヶ月。これは以前書いた「惑星大戦争」「宇宙からのメッセージ」における大失敗がもたらした結果であり、その後のSF映画作りに大きく影響しているのだ。つまりSFの信用度は著しく低下していたのです。(しかしこの「さよならジュピター」でさらに立ち直れないほどのダメージをSF映画界は受けることになります。)案の定、日本製のモーションコントロール撮影はひどいもので、合成のズレが非常に目立っていた。話題になった宇宙船等のメカ群も宮武一貴のすばらしいデザインを生かしているとは言いがたい。たしかにそれまでのミニチュアに比較すれば格段に精密だが、単に細かいパーツをごてごてとはりつけただけにすぎない。スターウォーズという前例があるのだからもっとディティールを研究してほしかった、と思うのは贅沢だろうか。それでも当時日本としては最高の模型である。その模型をひどい撮影でさらに台無しにしている。ただのおもちゃにしか見えないのだ。模型の窓などに人物動画を合成するがんばりはみとめるものの、長時間露光を惜しんだ為にちゃちいのである。これならば人物合成はなかったほうがまだいい。おもちゃに合成してはよけいおもちゃ感を強調するだけである。最悪は一番重要なシーンのはずの木星爆破のCG。あまりに貧弱である。NASA提供のボイジャー探査機の画像データを基に作ったというふれこみだが、そんなことはどうでもいいのである。本物の映像を使えばリアルだと思い込むのはあまりにもあさはかだ。当時のNASAの映像を見れば分かるが、けして良いものではない。あの映像で迫力あるシーンなど撮れるはずもないことなど明白だと思うのだが、盲目的になっていたのだろうか。
マキノ


 
 
 
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テーマ : 特撮・SF・ファンタジー映画
ジャンル : 映画

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>NASA提供のボイジャー探査機の画像データを基に作ったというふれこみだが、そんなことはどうでもいいのである。本物の映像を使えばリアルだと思い込むのはあまりにもあさはかだ

これは、製作期間の短縮と費用の問題から、そうしたのであって
それが一番効果的だったからわけではないです。
それから長時間露光を惜しんだのではなく、そんな時間をかけて撮影するだけの時間がスタッフには与えられていなかったのです。
最後の方は、特撮撮影用のスタジオの使用期限が過ぎて、ドラマ部分の撮影してるスタジオの片隅を借りて撮影してた状況です。
合成のズレについても、同様。わかっていてもリテイクしてる時間がなかったのです。
2001年と比較するのはスタッフがかわいそうですね。

Re: さよならジュピター

だからスタッフではなく、SFを軽んじているもっと偉い人に対して言っているんですよ。
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